看護学科 授業紹介


実践的フィジカルアセスメントのために

看護学科成人看護学領域では、近年関心が高まっている看護師が実施するフィジカルアセスメントに、シミュレーション教育を活用しています。

 

看護師が実施するフィジカルアセスメントは、患者の身体的状況を系統的・客観的に把握し、看護の専門的知識と技術を活用して、看護ケアを判断し、提供する、という意義があります。看護師がフィジカルアセスメントを実施することへ関心が高まってきた背景には、医療が高度化・専門化し、複数の疾患や複雑な健康問題を抱える患者が増加しており、それに伴って看護職者の役割が拡大し、期待される責任も高まっているという、社会の変化やニーズがあります。

3年生前期に行われる「成人看護援助論 II」 の演習、後期に行われる「成人看護学実習(慢性期実習および周手術期実習)」の実習初日の学内実習において、シミュレーターを用いたシミュレーション学習を実施しています。 呼吸音診察シミュレーター「ラング」、および術後患者の状態を設定した「フィジコ」を用いて、慢性疾患患者の呼吸状態の観察、術後患者の呼吸、循環、意識レベル、腹部状態、ドレーン・創部の観察やアセスメントのシミュレーション学習を行っています。

 

「成人看護援助論 II 」の演習では、術後呼吸器合併症を予防し患者の回復を促すために、呼吸音の聴取の演習を行います。肺の位置、ステートの当て方、呼吸音と心音が同時に聞こえる状況の中で呼吸音を聞き取る、といった実践的な学習をシミュレーターを活用して行っています。

術後患者の状態を模して設定した「フィジコ」では、術後1日目に想定される術後合併症を考えながら、患者の状態を客観的に把握することを学びます。患者のどの部位を、何のために観察するのか、そこで得られる観察内容はどのような意味があるのかを、シミュレーターでのフィジカルアセスメントを通して考えます。その上で、患者の状態に応じて、どんな看護を実施したらいいのかを考えて実践したり、授業内容や自己学習内容を想起し、教員や実習グループメンバーと話し合いながらその内容を統合するという学習を行っています。患者を目の前にして得られる情報を解釈しながら、看護判断を実践に転換していくといった、看護実践を学習する臨床実習において求められる『複合的思考』と、『判断の行動への転換の学習』をこれらのシミュレーションを用いる事で効果的に行い、実習での学習に役立っています。